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日本のBtoB企業サイトは「名刺」から「成長エンジン」へ

B2Bサイトが「ただのパンフレット」ではなくなったとき、実際に何が起こるのか
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BtoBの世界では、よくこんな言葉を耳にします。 「うちは紹介と営業で仕事が決まるから、Webサイトは一応あればいいだけ」

この考え方のせいで、多くの企業サイトは今でも「名刺」や「会社案内」の延長線上にとどまっています。 一度作って、数年に一度リニューアルして、それ以外の時間はほとんど放置されたままです。

一方で、予算はどんどん広告や展示会、アウトバウンドに流れていきます。 スイッチを入れればアクセスが増え、レポート画面にはクリックやコンバージョンが並ぶ。 数字の見やすさもあって、「安全でコントロールしやすい投資」に見えます。

Digitupは、そこで少し違う道を選びました。 「BtoBサイトがオーガニックな成長を生み出せる」と言う以上、まず自分たちのサイトでそれを証明したい。 自社サイトを“脇役”ではなく、マーケティングの中心に置くことにしたのです。

スクリーンショット(証拠)の紹介

 Digitup’s Google Search Console impression growth (India B2B site)
Digitup’s Core Web Vitals  performance report -Desktop
Digitup’s Core Web Vitals / performance report - Mobile

この3つの画像は、Digitupの中にある知識と地道な改善の「結果」です。 「本気で取り組めば、BtoBサイトでもここまで変えられる」という証拠でもあります。

この記事では、私たちがどのような考え方でサイトに向き合っているのか、 そしてAI時代のBtoBサイトの“態度”はどう変わるべきかをお話しします。

広告とオーガニックの関係

広告は、とても分かりやすい手段です。 ・「これだけ使って、これだけリードが取れました」と言いやすい ・四半期のレポートにもきれいに数字が並ぶ

ただし、広告で得ているのは「借り物の注目」です。 ・出稿をやめた瞬間に、流入も問い合わせも減っていく ・クリック単価やリード単価が上がれば、ファネルはすぐに不安定になる

一方、オーガニックな成長はその逆です。

最初は、正直「手間ばかり」に見えます。 ・買い手が何を調べているのかを理解する ・それに応えるコンテンツやツールを企画する ・パフォーマンスやテクニカルSEOを整える ・公開と改善を淡々と続けていく

しばらくの間は、大きな変化が見えないかもしれません。 それでも続けていると、ある日から景色が変わります。

・過去に公開した記事が、毎月新しい訪問者を連れてくる ・社名+サービス名のような指名検索が増えてくる ・こちらの考え方をすでに理解した状態で問い合わせが入る

この段階になると、オーガニック流入は静かに、しかし確実に、 どの広告キャンペーンよりも安定した、コスト効率の良いチャネルに変わっていきます。

「助けてサイン」から始めるコンテンツ設計

多くのSEO施策は、発注先を探している人が打ちそうなキーワードからスタートします。 ・「SEO 会社」 ・「Web制作 会社」 ・「BtoB マーケティング支援」

これらは重要ですが、「すでに業者を探している人」だけを取り合う戦いになりがちです。

Digitupが重視しているのは、その少し手前のサインです。

まだベンダーを探しているわけではないけれど、 「なんとなく困っていて、情報を探している」瞬間にどう応えるか。

たとえば、こんな状態です。 ・自社サイトが遅い気がして気になっている ・検索順位が落ちているが、何が悪いのか分からない ・どのURLが検索結果に出ているのか把握できていない

この「助けてサイン」に応えるために、私たちは記事だけではなく、 ・Core Web Vitals チェッカー ・インデクサビリティ/URL 抽出ツール

といった、“自分で現状を見える化できる小さなツール”をサイト上に用意しました。

これらを使うのは、開発者やマーケター、デジタル担当者であることが多いです。 最終決裁者ではないかもしれませんが、「社内で最初に問題に気づく人たち」です。

彼らがツールを通じて、 ・「モバイルのCore Web Vitalsが大きく落ちている」 ・「重要なURLの60%がインデックスされていない」

といった事実を目で見てしまえば、それは上司や経営層に話を持っていく強いきっかけになります。 その資料に載っているロゴが、次に相談される候補として頭の中に残ります。

こうして見直してみると、企業が用意できる「help me コンテンツ」はたくさんあります。 ・シンプルな計算ツール ・チェックリスト ・ベンチマークレポート ・自己診断ツール

大事なのは、「今すぐ発注してください」と叫ぶことではなく、 困っている人をちゃんと助けることです。

コンテンツ施策が途中で止まる理由

これまで多くの企業から、次のような話を聞いてきました。 ・「半年くらいブログをやってみたけれど、ほとんど反応がない」 ・「事例も書いてみたが、トラフィックはあまり変わらない」

その裏側には、コンテンツではなく「サイト環境」の問題が隠れていることが多いです。

よくあるパターン: ・すべてのページが手作業に近く、1ページ公開するたびに大きな工数がかかる ・部署ごとにバラバラなデザインでページが作られ、ブランドやUXに一貫性がない ・Core Web Vitals が悪く、特にモバイルでページが重くてカクカクする ・テクニカルSEOが乱れていて、サイトマップやURL構造、メタ情報が整理されていない ・公開のタイミングがキャンペーンのときだけで、普段はほとんど更新されない

このような環境では、どれだけ良いコンテンツを用意しても本来の力を出せません。 問題は「記事のネタ」ではなく、「コンテンツを支えるシステム」としてのWebサイトなのです。

Digitup がサイトを設計するときの考え方

Digitup自身も、サービスを提供するBtoB企業です。 だからこそ、自社サイトを単なるショーケースではなく、 クライアントと同じ条件で試す「本気の実験場」として扱っています。

私たちが自社サイトやクライアントサイトで行っていること: ・デザインシステムの整備 ・パフォーマンスを前提とした実装 ・テクニカルSEOを設計段階から組み込む ・バイヤージャーニーに沿ったコンテンツ配置 ・公開と改善を続けやすいワークフロー整備

少し詳しく書くと、次のようになります。

・共通コンポーネントやレイアウト、余白、タイポグラフィを定義し、  どのページを追加してもブランドが崩れないようにする。

・画像やスクリプトを最適化し、キャッシュ戦略を見直し、  Core Web Vitals を継続的にモニタリングして問題があれば早めに対処する。

・URL構造、メタ情報、サイトマップ、構造化データなどを設計段階から意識する。

・「Core Web Vitals という言葉を初めて知る段階」から  「複数のパートナー候補を比較している段階」まで、  理解度に合わせて自然に情報をたどれるようにする。

Digitupのサイトはヘッドレスアーキテクチャの上に構築されています。 コンテンツチームは、デザインの大きな変更が必要なときを除き、 開発チームに依頼しなくても、Wordファイルを編集するような感覚でCMSからコンテンツを公開できます。

インプレッションの伸びや、安定したCore Web Vitalsのスコアは、 こうした「派手ではないけれど正しい選択」を積み重ねた結果です。

AIコンテンツと評価について

最近よく聞く不安: 「AIで書いたコンテンツは検索に評価されないのでは?」

検索エンジンが本当に見ているのは、 ・AIか人間かではなく ・最終的なコンテンツが、読む人にとって役に立つかどうか

です。

評価が下がるのは、次のようなケースです。 ・低品質なコンテンツを大量に自動生成している ・ランキング操作だけを目的にページを量産している

実際に、一部のサイトは薄い記事を何百ページも公開し、 トラフィックだけを稼ごうとして問題になりました。

このブログは、それとはまったく違う使い方をしています。

・ストーリーの方向性や具体的な事例、判断は実際のプロジェクトや運用経験から来ている ・AIは、それを整理し、読みやすい構成にするためのアシスタントとして使っている

本当に投げかけるべき問いは、 「AIを使ったかどうか?」ではなく、 「このコンテンツは、読んだ人がより良い判断をする助けになっているか?」です。

BtoBサイトの役割は「新規リード獲得」だけではない

多くの企業は、Webサイトを「リード獲得の入り口」として見ています。 もちろんそれも重要ですが、BtoBサイトの役割はそれだけではありません。

(1) 既存顧客との関係を支える

・どのような案件に取り組み、何を学び、どんな成果を出しているのか ・どのようなチャレンジをしているのか

こうしたストーリーを継続的に発信することで、 「この会社に任せ続けて大丈夫だ」という安心感を積み上げることができます。

(2) 採用を支える

Digitupも長いあいだ、高額な求人媒体やデータベースに依存してきました。 しかし、自社サイトが成長し、考え方や仕事の進め方をきちんと発信するようになると、 ・検索や紹介を通じてサイトに訪れる ・「この考え方に共感したので応募した」と言ってくれる候補者が現れる

という変化が起きました。

その結果として、一部の高額な採用サブスクリプションから離れることができました。 サイトはクライアントだけでなく、「これから一緒に働くかもしれない人」に向けた顔にもなっているのです。

求職者の立場から見れば、 会社の雰囲気や本気度は、求人票よりもコーポレートサイトに強く表れます。

まとめ:これからのBtoBサイトと Digitup の役割

ここまでを踏まえて、BtoB企業が自社サイトで取り組めることを整理すると、次のようになります。

  • サイトを「一度作って終わりの会社案内」ではなく、「長期的に育てていく資産」として捉え直すこと。

  • 実際の買い手が「課題に気づく瞬間」から「パートナーを選ぶ瞬間」まで、どのようなステップで情報を集め、合意を取っているのかを理解すること。

  • その各ステップで役に立つコンテンツやツールを用意し、とくに早い段階の「まず状況を理解したい」というニーズに応えること。

  • パフォーマンスとテクニカルSEOを整え、良いコンテンツが遅延やエラーによって台無しにならないようにすること。

  • AIを「思考と表現を助けるアシスタント」として活用し、量を増やすだけのショートカットにしないこと。

  • クライアントだけでなく、既存顧客や候補者も見ている前提で、サイト全体のストーリーと見せ方を設計すること。

広告や営業、展示会は、これからもBtoBビジネスにとって重要であり続けます。 しかし、「本当に知りたいときに、その会社のWebサイトに何も手がかりがない」状態では、 せっかくのご縁も次の候補に流れていってしまうかもしれません。

Digitupは、自社サイトで実践しているこのアプローチを、 同じようにBtoBで戦っている企業にも届けたいと考えています。

パンフレットの延長ではなく、 事業の成長と信頼を支える「サイトのあり方」を一緒に設計していく。

それが、私たちがBtoBサイトの領域で果たしたい役割です。

作者

Digitup の CEO、アミット・ヴェルマ氏が、無地の背景にフォーマルな明るい色のシャツを着て微笑んでいる

アミット・ヴェルマ

最高経営責任者(CEO)、ディジタップ

  • B2Bウェブサイト戦略
  • オーガニック成長とSEO